今回はカルナック神殿観光の終盤に訪れる、聖なる池の近くにある「折れオベリスク」の碑文を読んでみました。
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これが第4塔門と第5塔門の間にある、ハトシェプストのオベリスク(写真の右端のオベリスク)の1対の片割れと思われます。
今回は、先端のとがった部分の碑文を解読してみようと思います。 |
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重たいオベリスクをよっこいしょと縦に持ち上げてみますと、このような場面が見られます。
2枚羽のついた冠をかぶっているのはアメン神、そしてその前にひざまずくのは、ハトシェプストです。
付けひげこそしていませんが、短い腰布だけをまとったファラオの姿は、これだけでは女王とは分かりませんね。
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アメン神の前、ハトシェプストの上の碑文を拡大すると、こんな感じです。
なんだか右側の1行だけ、はっきりしない気がしませんか?
これはアクエンアテンのアマルナ改革の際に、「アメンラー神」の名前を削り取った跡だと思われます。アメン信仰復活の後、再び「アメンラー神」の名前が刻まれました。
アマルナ改革は「マアト(真実)」を重んじたので、ハトシェプストの名前の中のマアト女神は無傷だったようです。 |
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上記碑文をまとめてみるとこんな感じです。
「天の主人アメンラー神により語られた言葉。(私は)2国の王権と、アトゥム神の地位を(私の)娘、マアトカーラー(ハトシェプスト)へ、彼女の望むままに与えた。あなたよ生きよ。」
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腰布をつけて、青冠を被ったファラオなのになんで「娘」??? 私たちはハトシェプストという女王がいた、というのをすでに知っていますが、初めてこの碑文を解読したエジプト学者は、頭を悩ませたことでしょうね。
内容に誤りがあった場合、その責は小柳に帰します。 |