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 ヒエログリフ解読
(古代文字へのご招待)
(13)海の民との戦い(ハブ神殿)を読む
 好評の古代戦記シリーズ、今回は「海の民との戦い」をお届けします。

今回N氏に解読していただいたのは、「海の民との海戦」のシーンで、矢を射るラメセス3世と馬との間の14行と、馬の前の一部分です。

 


   弓を射るラメセス3世。
 ラメセス3世の王名

 この戦いのレリーフが残っているのは、ルクソール西岸のメディネト・ハブ神殿(ラメセス3世葬祭殿)になります。パックツアーでは訪れることも少ないハブ神殿は、20王朝のラメセス3世の葬祭殿を中心としたいくつかの神殿から成り立っています。

 ラメセス3世葬祭殿に「海の民との戦い」のレリーフが残されています。「海の民」とは一つの民族を示すのではなく、ペリシテ人、チェケル人、シシリー人など地中海方面のいくつかの民族で構成されていた武装難民集団のようです。飢饉のある地中海地方から、飢饉の少ない豊かなエジプトの土地を求めての侵攻だったようです。

 ラメセス3世は、陸路と海路の両方から侵攻してきたグループに対し、軍隊や船団で対抗しました。その海の民との戦いが、ハブ神殿の第2塔門の正面と、第2中庭の外壁に、「ラメセス3世の演説」「ラメセス3世の戦争準備」「敵の敗北」「ラメセス3世の凱旋」「海の民との陸戦」「海の民との開戦」「捕虜の検分」「戦勝祝賀会」などなど、びっしり彫られています。壁面は崩れがひどく、文字は現在ではほとんど読み取りができません。絵の部分は今でも判明できます。

 誤りがあった場合には、その責は小柳に帰します。