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ヒエログリフ解読
(古代文字へのご招待) |
(14)カァメスの戦勝碑を読む
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この石碑はルクソール博物館のギャラリーJの床に展示されているもので、
もとはカルナック神殿に奉納された1対の石碑のうちのひとつである。
内容は、第2中間期の第17王朝のファラオ、カァメスが、下エジプトの
デルタ地方に侵入してアバリスを都としたヒクソスの王アペピとの戦いで
勝利したことを記念したものである。
こののち、カァメスの弟であるイアフメスが兄に引き続いて、のべ10年を越える
激戦の末、ヒクソスを完全に駆逐して第18王朝が樹立され、
新王国時代が始まった。
今回N氏に解読していただいたのは、この碑の全文38行のうち、
10行目の3文字目から18行目まで、並びに30行目6文字目から35行目までです。
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古代エジプトが最高の繁栄を遂げた第18王朝は、ヒクソスとの戦いの後、カァメスとイアフメスの兄弟により開かれました。
当時ヒクソスと呼ばれる異民族が、下エジプトデルタ地帯のアバリスを拠点としてエジプトを統治し、エジプト人は上エジプトに追いやられ、復活の時を狙っていました。
第17王朝のセクエンラー2世とその息子であるカァメスとイアフメスの兄弟によって、エジプトの地が再びエジプト人の手に戻った時の喜びが、この石碑には満ち溢れています。(特に32行から33行のあたり)
第17王朝がテーベを中心とする豪族による王朝で、彼らが信奉する神が、アメン神であったため、続く第18王朝にはアメン神が国家神として祀られ、アメン神官団が巨大な権力を握っていくことになります。古代エジプトの繁栄と、アメン信仰の拡大は、このヒクソスとの戦いがきっかけであったといってもよいでしょう。
内容に誤りがあった場合、その責は小柳に帰します。
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