古代においても動物たちは飼い主に愛され、死ぬとミイラにされて大切に葬られました。
ペットシリーズの第2回目は、カイロ博物館にある古王国時代、ギザ出土のステラの碑文を読みます。(J76573 長辺54cm) |
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これはファラオの愛犬 アブウティウのステラです。(K.N) |
前回の猫と同様に、犬も古代エジプトではペットとして飼われていました。犬の方が旧石器時代から狩猟犬として、新石器時代になると牧場犬として、猫よりも古い時代から人間の近くにいたようです。
飼い犬の最古の埋葬例は、先王朝時代(紀元前4000年ごろ)の中部エジプトバダリ遺跡から発見されているそうです。初期王朝時代には、アビドスの王墓の周りに愛犬が埋葬されたようです。
ここでは犬の名前「アブウティウ」は描かれていますが、飼い主である王の名前はありません。そのため、どの王の愛犬であったのかはわかりませんが、王墓の宝物殿に、亜麻布と香料、聖油を副葬品として埋葬されたアブウティウが、どれだけ王に愛されていたのかは分かります。古代においても犬は家族の一員だったのでしょうね。
「犬」という文字は、ここでは「チェセム」(最初の4文字)で表されていますが、鳴き声から命名された名称である「イウ」や「イウイウ」という文字もよく使われています。こちらの方が「ワンちゃん」、とか「ワンワン」とかいう犬の呼び方に近いようです。
犬も死後ミイラにして保存されました。カイロ博物館の2階動物のミイラ室には、王家の谷から発見された、保存状態の良い犬のミイラが展示されています。
「岩波ジュニア文庫 ものの始まり50話」近藤二郎著を参考にさせていただきました。
内容に誤りがあった場合、その責は小柳に帰します。
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