古代においても動物たちは飼い主に愛され、死ぬとミイラにされて大切に葬られました。
ペットシリーズの第3回目は、大英博物館にあるイヌのステラです(95cmX145cm)
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これは中王国時代第11王朝初期のファラオ アンテフ2世の愛犬たちであります。飼い主の椅子の下に描かれた犬は、他の壁画でも見られるが5匹もいる例はなく、その故もあって、これは特に「犬のステラ」と呼ばれています。
5匹の愛犬には夫々名前が付けられていて、その名前はすべてベルベル語で書かれていて、その意味をヒエログリフで解説してある、と大英博物館の図録解説にはあります(a、c、dがそうらしい)
さて、ベルベル語は、西アジアの砂漠地帯に分布する種族が用いた言語であったことを考えると、当ステラの愛犬たちがその種族に飼われていたものであろうということは容易に想像できます。そして、動物図鑑によってベルベル語族の犬は最も古い犬種でサルーキと呼ばれ、古代エジプトでも愛育されていたらしい、ということを筆者は知りました。
つまり、アンテフ2世の愛犬たちは、サルーキという犬種でベルベル語族から購入した、ということが云えます。(K.N) |
サルーキは現在でも飼育されている犬種で、細くしまった体型と長い脚が印象的な犬です。ウィキペディアによれば。犬を不浄とみなすイスラムの世界でも、このサルーキだけは特別視されていて、不浄とはみなされないとか。とはいえ、現代のエジプトでは犬をペットに飼う人も多くなり、犬を不浄とみなす慣習は少しずつ薄れていっているのかなぁ、という気もします。
誤りがあった場合には、その責は小柳に帰します。
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