エジプト
 
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 ヒエログリフ解読
(古代文字へのご招待)
(26)「心臓スカラベ」を読む

 ここまでアメンヘテプ3世の3種の記念スカラベを読んできたが、ここで古代エジプトにおける「スカラベ」の意味、並びに、代表的な「心臓スカラベ」のヒエログリフを読んでみよう。

 古代エジプトでは、スカラベ(コガネムシ科の甲虫、別名フンコロガシ)は丸めた糞の中から生まれ出るという生態の神秘性から生命の復活・再生(あの世での再生)を象徴すると考えられた。また、スカラベが丸い糞を転がす行動は、東から天空に昇り、西に沈むという太陽の動きと同一視され、スカラベが太陽を支え、運行させていると考えられた。

 古くから太陽信仰が定着していた古代エジプトでは、そのようなスカラベは神聖なものと考えられ、魔法の護符として死者のミイラづくりの過程で包帯の中に埋め込まれた。

 また、生者にも指輪やブレスレット、ネックレス、印章などの装飾としてのみならず、お守りとしても広く用いられた。ツタンカーメンのブレスレット(下図、カイロ博所蔵)はその1例である。
 

 これらの呪文は「死者の書」第30章Bの一部で、上記は最も短い例に属する。次回は「死者の書」のこの部分を読んでみよう。(K.N)

誤りがあった場合には、その責は小柳に帰します。