エジプト
 
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 ヒエログリフ解読
(古代文字へのご招待)
(7)「カルナック神殿のオベリスク」を読む
(至聖所に面した面)

  今回は、カルナック神殿にあるオベリスクの碑文を、いつものようにヒエログリフ研究のK.N氏に解読していただきました
 
 
羊頭のスフィンクスが並ぶ参道を進み、巨大な第1塔門から神殿に入り、広い第1中庭を横切って壮麗な大列柱室に至ります。

 大列柱室の出口になっている第3塔門を見ると、その先に天を貫く2本のオベリスクが目に入ります。

 手前の方が第3塔門と第4塔門の間、右側に立つトトメス1世のオベリスク(高さ約20m)で、左側に立っているのが、第4塔門と第5塔門の間に位置留守ハトシェプスト女王のオベリスク(高さ約32m)になります。

 ちょうど右の写真のように、天高く並立して見えます。そして目に飛び込んでくるのがそれぞれのオベリスクの西面で、ともにオベリスク献呈の辞が書かれています。

 カルナック神殿は至聖所(いわゆる奥殿)が東奥にあるので、西面が正面となり、そこにはオベリスクの建立趣旨が述べられています。

 では、それぞれのオベリスクについて、西面の碑文を読んでみましょう。
 
 トトメス1世のオベリスク(右側)
 
<解読>

 ホルス名「カーネケト、メリィマアト」(強き雄牛、マアト女神に愛されし者)

ネスウ・ビト名「アァケペルカァラー、アメンテイト」(ラー神のカァの出現は偉大なり。アメン神の姿)

彼(トトメス1世)は、父、2国の長、アメンラー神のための記念碑として、これを作った。

(彼は)巨大な2本のオベリスクを神殿の二重門のところに建立した。

(それらの)ピラミディオンは琥珀金で出来ている。

(以下、解読不可)
 
 
 トトメス1世の時代には、上記の碑文にあるように、カルナック神殿の一番外側の門は現在の第3塔門でした。
ちょうどルクソール神殿のオベリスクのような形で、トトメス1世のオベリスクが2本、
神殿の入り口を飾っていたことになります。

 続いてはトトメス1世の娘、ハトシェプスト女王の建立したオベリスクです。 

 ハトシェプスト女王のオベリスク
 
 <解読>

 ホルス名「ウセレトカァウ」 2女神名「ワジェトレンプウ」

黄金のホルス名「ネチェレトカアゥ」 ネスウ・ビト名、二国の主「マアトカァラー」

彼女は、二国の玉座の主、父アメン神のために、記念碑を作成した。

彼女は、偉大で威厳に満ちたアメン神殿の高貴な門(塔門)の所に巨大な二本のオベリスクを建立した。

それは極めて豊富な琥珀金で装飾され、日輪のように二国を照らした。

大地の開闢以来、このようなものが作られたことは無かった。

それこそサーラー名「ハトシェプスト、ケネムトアメン」の業績である。

彼女に、太陽神ラーの如く永遠の命が与えられますように。

 ハトシェプストは父が建てた第4塔門と第5塔門の間のスペースに巨大なオベリスクを建立しました。

 オベリスクを建立させるには、エジプトに豊富にある砂を使って、建立ポイントに大きな砂の詰まった傾斜状の台を作り、そこに石切り場からナイルの氾濫を利用してオベリスクを運搬してきて、少しずつ砂を外に出しながら、花崗岩の基台にオベリスクを建てていったとされています。

 塔門の間にあったハトシェプストのオベリスクの建立のためには、第4塔門と第5塔門の間を砂で埋め尽くしたのでしょうか。いくら砂だらけの国とはいえ、その量は想像ができないほどです。

 なお、トトメス1世、ハトシェプストのオベリスクはいずれもアスワンの石切り場から切り出された赤色花崗岩製です。

(間違った点がある場合には、その責は小柳に帰します)
 
 
ブルーガイド「エジプト」より