前回に引き続き、カルナック神殿にある2本のオベリスクの碑文を、ヒエログリフ研究のK.N氏に解読していただきました。今回は通路に面した面(トトメス1世では北面、ハトシェプストでは南面)の内容です。
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トトメス1世のオベリスク(列柱室を背にして右側) |
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<解読>
ホルス名「メリィラー、カーエムへジェト」(ラー神に愛されし者、上下エジプトからの出現)
二女神名「ドゥアアテン、カーカーウ」(崇拝されるアテン神、光輝の中の出現)
ネスウ・ビト名「アァケペルカァラー、イルエンラー」(ラー神のカァの出現は偉大なり。ラー神から生まれし者)
黄金のホルス名「アァペフティ、ウセルケペシュ」(偉大なる王威、力強い前脚)真実の神殿に永年榮えし者
サーラー名「ジェフティメス、カーミーラー」(トト神の誕生、日輪の如き出現)
ヘリオポリスを支配する神、二国の玉座の主、アメンラー神に愛されし者。
ラー神の如き永遠の命を与えられますように。 |
ハトシェプスト女王のオベリスク |
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<解読>
ホルス名「ウセレトカァウ」(力強きカァ)
ネスウ・ビト名、二国の主「マアトカァラー」(ラー神のカァは真理なり)
アメン神の輝かしい姿。 彼(アメン神)は、神聖なる大聖堂の前のホルス神の玉座に(彼女を)王として出現させた。
偉大なる九柱神が、日輪の側近の女主人に(彼女を)育て上げた。
彼ら(九柱神)は生ける者の前で、生命、権力、喜びと彼女とを結び合わせた。
サーラー名「ハトシェプスト、ケネムトアメン」(貴族の中の貴族、アメン神と結ばれし者) 神々の王アメン・ラー神に愛されし者。 太陽神ラーのように永遠に命を与えられし者。
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トトメス1世とハトシェプスト父娘のオベリスク競演はいかがでしたか?
父、トトメス1世の碑文はシンプルで型どおりという印象ですが、慣例を破って女性でありながら王に即位したハトシェプストの碑文では、神々が彼女を育てて、王座に就けさせたんだ。王位についたのは神の意思なんだ。と強く主張するような印象を、私(小柳)自身はすごく強く受けました。
皆さんは、どのような印象をお持ちになりましたか? |