今回はカルナック神殿観光の終盤に訪れる、聖なる池の近くにある「大スカラベ」の台座の碑文を読んでいただきました。
古代エジプト語を研究する、K.N氏による解読をご紹介いたします。
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聖なる池の近くにあり、観光客がぐるぐるまわりを回って歩いているあのモニュメントには何が書かれているのでしょう。
大スカラベの台座には、一番上に左右に大きく翼を広げたラー神が描かれていて、すべてがその下に囲われていて、保護されている有様を表しています。
翼の真下には中央にマアト女神がいて、第18王朝のファラオ、アメンヘテプ3世の名前(ネブマアトラー)が隠されています。
マアト女神の右側には白冠をいただいたコブラ(上エジプトの代表)が、左側には赤冠をいただいたコブラ(下エジプトの代表)が控えています。英博物館古代エジプト展の
パンフレットにも使用されています |
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白冠コブラの説明
ネクベト神、ネケンの白き者
赤冠コブラの説明
ワジェト女神 |
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下段の文字群は、右側3行は王(アメンヘテプ3世)のことが書かれ、左側にはアトム神の言葉が書かれている。各々の向きが文字の向きと一致している。(王の顔は左向きで、王に関する3行の説明文も左向き)
<王の上の3行>
ネスウ・ビト名「ネブマアトラー」 サーラー名「アメンヘテプ、テーベの支配者」
大地に出現する者、ケプリ神に愛されし者
<アトム神の顔の前4行>
二国とヘリオポリスの主、アトム神の言葉。
汝の鼻に対する命を汝のために受け取るべし
二国の主、ネブマアトラーよ。
生きる者たちの上に立つ王としての、何百万年もの年月を(私は)汝に与えた。
表面が崩れて読みづらいですが、足元の下に5行の碑文があります。ここにはアメンヘテプ3世に対するケプリ神(スカラベの姿をした神)の言葉が下記のように記されています。
「汝は我が息子である。汝は何百万回ものセド祭を行うべし。九弓の民(異民族)は汝のサンダルの下で殺された状態にある。汝は永遠に生き、いつまでも若々しくあれ」
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大スカラベの台座の碑文の内容を知ると、なぜツアーのガイドが「このスカラベの周りを回って、一周ごとに太陽のマーク(ラー神)にタッチして、3回まわると恋人ができて、5回まわると結婚できて、7回まわると離婚できる」と説明するのか(私が数回参加したパックツアーではこのように言われました)ますますわからなくなります。全然関係ないじゃん。(小)
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