エジプト
 
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 パックツアーの真実
(ちょっと昔のエジプトツアー)
エジプト初めての方は、「やはり個人旅行では不安」とパックツアーにお申込になる方がほとんどです。
(私もかつてはそういうパックツアーで旅行していました)
ではそのパックツアー、一体どんな感じの日程でどんな風に動くのか、ドキュメンタリー風にお伝えします。

「エジプト周遊8日間」編

現在は直行便で所要時間13時間程度となりました。下記はちょっと一昔前のパックツアーの日程です。
1日目
  とうとう今日は憧れの地、エジプトへ出発です。ドキドキしちゃう。さて、どんな旅になるのやら…

  東京~カイロ(所要時間22時間!)マニラ、バンコクを経由で南周りです。途中、E航空で無理矢理機内食を詰めこまれ、
  睡眠不足&胃弱状態でカイロに到着。  
2日目
  早朝カイロ到着。飛行機の中で眠れなかったにもかかわらず、朝からピラミッド&スフィンクス観光。
  昼ご飯はピラミッドの見えるシーフードレストランで。
  昼食後、めちゃくちゃ眠いのに、午後は考古学博物館で観光。半分寝ぼけたまま、とにかく広い博物館の中をひたすら歩きます。
  金製品を見た時だけ、寝ぼけていたはずのツアーのオバサマの目が輝く。
  「まぁ、これ高そうね。いくら位するのかしら…」買えないっつーの!
  早くホテルに入りたいのに、土産物屋に3軒くらい寄らされ、訳も分からず添乗員さんと現地ガイドさんの勧めるままに
  カルトゥーシュペンダント購入。
  ホテルに着くとチェックイン。ホテルスタッフがもたもたしていて、ホテルロビーでぐったりする人々。
  やっと部屋に入ると、シャワーも浴びる暇なく、夕食です。
  夕食はホテルのレストランで安いチキン料理。(たいていこの辺でお腹がゆるくなる。食事のせいではなく、機内食詰めこみの胃弱が原因)
  夕食食べて少し一心地つくと、添乗員から非情な通達。
  「皆様、明日の飛行機は朝6時の出発ですから、モーニングコールは朝3時です。4時から朝食はこちらのレストランになります。
  ホテル出発は5時です。では明日に備えてごゆっくりお休みください。」
  そこで一同あわてて時計を見る。げっ、もう8時じゃないか。部屋に戻ってお風呂に入って、早く寝なくちゃ…そそくさと引き上げる人々。
  お風呂に入って支度し終わると10時過ぎ、でも海外旅行で興奮しているから、なかなか寝つかれず、11時終寝。
3日目
  午前3時にモーニングコール。結局睡眠時間4時間。 半分寝ぼけたまま朝食。寝ぼけたまま出発。
  旅行の申込みをした代理店の窓口のおね-さんにエジプトは暑い国だと聞いてきたので薄手の服しか持ってこなかったけど、
  なんだカイロは結構寒いじゃないか。くしゃみ3発。
  アブシンベル行きの飛行機の待合室は日本人ばかり。(8割が日本人)
  アブシンベルまでの機内で少し寝ようかと思うと、離陸1時間でアスワンに着くからと起こされ、結局眠れず。
  アスワンで降りられるのかと思うと、機内待機で実につまらん。
  やっとアブシンベルにつくと、今度は猛暑。睡眠不足にアブシンベルの強烈な太陽がキツイ。のどが乾いてミネラルウォーターを
  ガブガブ。日本人だらけのアブシンベル観光を終え、アスワンまで飛行機、なんだまた日本人だらけじゃないか。
  アスワンに到着して、それぞれの荷物をバスに詰めこんで出発。
  空港からの途中に切りかけのオベリスクとアスワンハイダム観光。前のバス、後のバスに日本人観光客がびっしり。
  そろそろ午後1時、やっと昼食にありつけると思って昼食レストランに入ると、そこには、先ほどのアブシンベルで一緒だった
  日本人がすでに食事をしている。何食べてんの?もちろんウチのほうが良い食事だよね。だって○○ツアーだもん。
  (食事はたいてい同じメニュー)
  お互いの食卓を遠めで覗き込む人々。
  昼食が終わってアスワンのホテルにチェックイン。やった。やっと寝られる!と思うと、そうは問屋がおろさない。
  「皆様、3時からフェルーカのセイリングが始まります。3時にロビーに集合してください。」結局、靴を脱ぐまもなく、
  トイレだけ入ってロビー集合。
  3時のアスワンはまだ日も高い。熱い太陽がじりじりと肌を焦がす。日陰もない。眠い。疲れ果ててみんな無口…
  4時ごろになってやっと日もかげりはじめ、ようやく気持ち良い風が吹き始めると、フェルーカセイリングは終了。
  「じゃあ、皆様夕食は7時です。それまで自由行動です。」って言われたって、疲れてるっちゅーの!
  お風呂に入ろうと思ってお湯をためているうちに、ベッドでつい眠ってしまう。
  慌てて起きあがるとお風呂は一杯。洗面所にお湯をこぼさないように、そっとお風呂に入る。交代でお風呂に入って、
  髪の毛乾かして、着替えて夕食。 夕食はたいていブッフェ。
  夕食後はアスワンの市場に行こうかな。と思っていると、ここでもまた添乗員。
  「明日は7時のフライトでルクソールにまいりますので、モーニングコールは4時半です。食事は5時からです。
  6時にロビー集合です。」もう、いいかげんにしてくれ。
  明日のことを考えると、アスワンの市場もちょっとだけ覗いてそそくさと帰る。
  「お風呂入っておいて良かったね」
  「でも、市場行ったらまた汚くなっちゃったね」
  「もう一回シャワーだけ浴びようかな」そしてまた地獄にはまる…
 
 4日目
  本日も睡眠時間4時間です。朝食のレストランで出会う同じツアーの人達も少し元気がなくなってくる。
  「いやー、私お腹やられましたよ。やっぱりエジプトの水がいけないんですかねぇ、それとも食事がいけないんですかねぇ?」
  (そんなことはない)
  それを聞くと、なんとなくこちらもお腹がキュルキュルしてくる。
  「ごめん…ちょっとトイレ行ってくる」
  そして、ぴー。(約6割の人がこの辺で下痢する)
  午前中はルクソール西岸の観光。王家の谷、メムノンの巨像、ハトシェプスト葬祭殿のゴールデンコース。
  王家の谷では王様のお墓に入って観光するのだけれど「行きはよいよい、帰りは恐い」
  地下まで下がるのは楽勝だが、上がって来るのは疲れる。
  気合入れて坂道上がってきたら、お腹いたくなっちゃった。
  そしてエジプトでも5本の指に数えられる汚さの王家の谷特設トイレに入る。もちろん紙はない。便器には前の人の残したものが
  こびりついている。(前の人もお腹壊してたんだ…)
  音を消したいけど水が流れない。あ、でももう限界。
  ふぅっ…。さて、水はどうすれば良いんだ?! 
  しばしトイレの中で水洗のノブを探すが見つからない。仕方ないので、自分のしたものに、目隠しのティッシュペーパーを1枚かけて
  個室をでる。
  出たところにいるおばちゃんに「NO WATER」とか、泣きそうになりながら言ってみる。
  おばちゃんは近くのバケツから便器に向かって水をぶっ掛ける。
  そうか、だから便座が濡れてたのか…おばちゃんが手を洗えとバケツの水を少し手にかけてくれる。洗い終わってハンカチを出そう
  とする間もなく、トイレットペーパーをちぎってくれる。
  でも、便器に水をぶっ掛けたのと同じバケツだ…
  昼食はルクソールの川沿いのレストランで、ルクソール名物と言われるハトを食べます。
  なんだか小さくて、すずめのちょっと太ったのって感じで、ちょっとニオイがする。うまいものではない…
  午後はルクソール神殿とカルナック神殿の観光。日陰があるから少し楽か。
  でも、お腹痛い…
  へとへとになって観光終了。もう、どっちがカルナック神殿でどっちがルクソール神殿だってかまうもんか!
  王家の谷?なんだか知らないけど、3つくらいのお墓に入ったわよ。名前なんか覚えてないわよ。
  とにかく疲れたー。と自暴自棄。
  今日は観光のあと、ゆっくりホテルで休もうと思ったのに、バスの中で添乗員さんがオプショナルツアーのお勧めをしている。
  「せっかく来たんだから…」とか言ってツアーのみんなが参加の手を挙げている。私達だけ行かないのもなんだか嫌だ。
  「はーい、2人参加します。」
  埃だらけの音と光のショーが終わってやっとホテルへ。
  夕食は今日もブッフェ。毎日同じようなブッフェで飽きてきた。
  添乗員が明日の説明をしている。「明日の飛行機は朝8時出発です。ホテル出発は、6時半です。明日は少しゆっくりだから良かったですねー」
  「よかった、ゆっくりだ」(すでに感覚がマヒしている)
  泥のように眠る。
  でも、途中夜中に2度ほどトイレに起きる。隣で寝ている友人もやはり2度ほどトイレに起きる。
  結局、1時間交代でどちらかが起きていて熟睡できない…
 5日目
  少しゆっくり起きて(でも朝5時起き)朝食を食べる。エジプトにも慣れてきたのか今日は少し楽な気がする。でも、お腹は最悪だ。
  飛行機は約30分遅れてカイロに到着する。
  カイロの市内に到着すると午前10時半、このままモハメドアリモスクとハンハリーリ市場の観光に出かける。中途半端な時間から観光が
  始まったので、昼食の時間になってもまだ観光を続けている。
  「今朝は少しゆっくりだったから、それほどお腹空いてないですよねー」と添乗員。
  結局空腹のまま観光を終え、3時ごろに昼食になる。
  「今日の夜は、ベリーダンスを見ながらのナイル川ディナークルーズです。集合は7時半にロビーです。少しおしゃれして
   いらっしゃってくださいね。あと、明日は1日自由行動ですけど、皆さんアレキサンドリアのオプションにいかれますよね。」
  もう、好きにしてくれ。
 6日目
  今日がエジプト最後の日だ。なんだか凄く疲れた気がする。
  今日はアレキサンドリアまで、バスで観光します。オプショナルツアーです。
  アレキへの出発は朝8時半で、今までの中では一番楽です。ホテルからバスに乗ってアレキまで約3時間かかります。
  途中、砂漠の真中のレストハウスでトイレ休憩を取ります。アレキ到着はお昼ごろです。昼食はシーフードです。
  昼食後、アレキの市内観光をします。
  「クレオパトラの住んでいた街、地中海の真珠、アレキサンドリア」すばらしい響きです。いったいどんなところを観光するんだろう。
  グレコローマン博物館。ふーん、カイロに比べるとずいぶんちっちゃいのね。
  カタコンベ。へぇー、地下のお墓か…なんかすごく臭いんだけど…
  ポンペイの柱。柱1本とスフィンクスだけか?おい!
  なんだかだまされた気分で観光終了。えっ、これだけ?
  そしてバスは一路カイロへ逆戻り。
  往復の移動のほうが、観光時間の何倍も長いぞ。
  砂漠に沈む大きな太陽を見る余裕もなく爆睡。気がつくと、バスはホテルの前に停まっていました。
  もう明日は日本に帰るのか。うれしいような、悲しいような…
 7日目
  今日の国際線の出発は午前11時過ぎです。空港へ着くのが2時間前、だから、8時にホテルを出発します。
  もう少しゆっくり出来ると思ったのに、結局今日も6時起きでした。
  空港で出発を待っている間にお腹が空いてきました。
  懐かしいE航空に乗りこむと、スチュワーデスさんが機内食を放り投げるように渡してくれます。
  そしてまたエサを詰めこまれながら、東京までの長い長い旅が始まるのです。
 8日目
  東京に到着しました。何もかもがみんな懐かしい…
 
 翌日会社に出社して…
  「お休みいただいてありがとうございました。エジプトってなんにもおみやげになるようないいものなくって…
  こんなものでごめんなさい」なぜかバンコクで買ったチョコレートを土産に持っていく私。
  「で、エジプトってどうだった?」
  「うん…楽しかったです…でも、お腹壊しちゃって大変でした。」
  「そうなんだ、やっぱりエジプトって、食事あぶないよねぇー」
  こうしてエジプトは食あたりする国という伝説が語り継がれて行く…



 違う!違う!おなか壊すのは、飛行機で運動不足な上に、機内食を詰めこまれて胃弱になったところに、乾燥しているから
 知らず知らずにミネラルウォーターをがぶ飲みして、それにこんなハードな日程が重なってお腹がゆるくなるんだ!

 よく、ガイドブックに「正露丸も体の中を通過して行くものすごい下痢」とか書いてあるけど、アタリマエだよ。
 だってほとんどの場合細菌性じゃないんだもん。だから、エジプトでお腹を壊した場合、観光を休んで1日ゆっくり寝て疲れを取れば、
 薬なんか飲まなくても自然に下痢は止まります。  

 これは、数年前までのエジプト8日間パックツアーの日程をもとにした、一応フィクションです。
 でも、たいていの日本人はこんな日程で観光しています。
 こんなハードな日程で、具合悪くならないほうがおかしいですよね。